悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽ロベリア・ガーランド:現在③

▽ロベリア・ガーランド:現在③


 「エミリオ殿下の王位継承が正式に決まった」

 応接室に入室するなり、ルキウスが単刀直入に切り出した。

 「そう……じゃあお姉様が次期王妃というのがいよいよ現実的になってきたのね」

 今、姉はこの離宮ではなくエミリオ殿下のいる本宮で暮らしている。
 本格的な治療施設のある本宮にいたほうが都合がいいという話だが、実際はエミリオ殿下が自分の側から離したくなかっただけだろう。

 後宮女官が本宮に滞在することに誰も反論しなかったのは、彼に逆らうのは得策ではないと皆分かっているからだ。

 陛下はロエル殿下に刺されて以来意識不明のまま。
 殿下本人は心神喪失と診断され、隔離して治療するという名目で幽閉状態。

 誰がこの先のセルトラヴィアを背負うことになるかなんて、考えるまでもない。
 その人が特別視している女性を、ないがしろにできる勇気のある人間など、この腐りかけの宮廷には存在しない。

 「ああ。すでに殿下とアイリス様はよく話し合い、決断なさった。発表はまだ先だが、覆ることはないだろう」

 真面目な顔のまま、けれど喜びを滲ませてルキウスが語る。

 一度目も二度目も、エミリオ殿下が継いでくれればと嘆いていた彼だ。
 途中で何度も方針を変えた私なんかより、よっぽど殿下への思い入れが強いはず。

 ルキウスが支持する彼が国王となるのなら、この国はきっと良い方向に向かっていくだろう。
 リュシーが露骨に姉に擦り寄っているのも、無駄ではなかったらしい。
 強いものにつくその嗅覚と変わり身の早さには感心してしまう。
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