傷ついた王子は森の魔女に癒される

最終話 愛情の証と新たなる日々

 まさかコーデリア嬢が僕を追ってくるなんて――!
 ファリエルは、空中から見下ろしてくるコーデリアを見上げて息を呑んだ。

 薬に仕込まれていた効果は、まるで自分たちを後押しするかのようだった。
 とはいえ意図がわからなければ、警戒せずにはいられない。

 コーデリアから目を離さず体勢を低くして臨戦態勢を取る。
 その瞬間、リリアナが背後からそっとシャツを引っ張ってきた。
 無言の合図に力を抜く。

 リリアナが隣に並び立つ。ファリエルはすぐさまその手を取り上げるとぎゅっと握りしめた。手を繋ぎ、互いに目を見合わせる。
 改めてコーデリアを見上げると、鋭い眼差しが少しだけ和らいだ。
 長い黒髪を払いながらため息をつく。


「言っとくけど私、人間なんて大嫌いだし、ボナマハト王国の奴らはもっと許せないわ。でもそんなことよりその子(・・・)が悲しむのが一番嫌なの」


 唐突な切り出しに面食らう。ファリエルはとっさになにも言い返せなかった。
 赤い目が、今度はリリアナを見る。

「リリアナ。薬の効能、気づいたでしょ?」
「は、はいコーデリアさん。すごいです、あんなに複雑な効能を付与できるなんて……!」

 だから精霊の力を借りていたんだ――とファリエルが薬の調合風景を思い出していると、コーデリアが再びファリエルを見た。顎を上げ、見下す目つきをする。
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