傷ついた王子は森の魔女に癒される

18 王子と魔女を繋ぐもの

ユリの花が(・・・・・)あしらわれた(・・・・・・)お守り(・・・)を……ファリエルさんは、もらったことがあるのですか!?」

 リリアナが上擦った声で尋ねてくる。
 そこまで驚くことなのだろうか。

 手首に巻かれたお守りを顔の前にかざして、改めてまじまじと見る。

「ああ。見れば見るほどよく似ているな。以前もらったお守りも、確かにこの模様だった」
「本当に……本当に、ユリの花、でしたか……?」
「ああ、間違いない」


 力強くうなずいてみせる。
 忘れるはずがない。
 あのお守りは、薄暗い牢の中でも、僕の支えとなってくれたから――。


 リリアナの顔は、完全に血の気が引いていた。
 肩で息をしている。


 どうしたんだと尋ねようとした矢先。
 リリアナが、今にも泣きそうな声で説明を始めた。

「……魔女のお守りって、それぞれの魔女が独自のデザインで作ります。別の魔女が同じお守りを作ることは、絶対にできない(・・・・・・・)んです」
「絶対に……同じものを作れない?」
「はい。お守りにユリの花の模様をあしらった魔女は、私以外にいません。魔女がお守りを作るときに、同じ花をモチーフにすることはできない。そういう仕来たりなんです」

 握り合わせた手の震えが、ますます激しくなっていく。

「……もし知らずに作ってしまったとしても、魔力を付与できないから必ず気づくんです。『この花はもう、他の魔女が使っているモチーフなんだ』って」


 つまり。
 僕がもらったお守りは。


 リリアナから贈られたものでなければ、辻褄が合わない――。
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