傷ついた王子は森の魔女に癒される
22 魔女からの宣告
ファリエルは、リリアナの家に戻ったあともずっとふさぎこんでいた。
リリアナの作ってくれた夕食を食べたときに感謝の言葉を口にしただけで、それ以外は言葉を発せなかった。
いつも心が癒されていた手料理も、まったく味がしなかった。
夜になった。
長時間歩き続けて疲れているはずなのに、眠れそうになかった。
森のざわめきが、やけに耳に刺さる。
リリアナは同じ空間にいるのがつらかったのか、『したい作業があるので別の部屋にいきますね』と小声で言い残して出ていった。足音から察するに、きっと台所にいるのだろう。
これまでと変わらずリリアナのベッドを占領し、力なく腰を下ろした。
床に視線を落とす。
そこに描かれていた魔法陣。その中央に呼び寄せられた日が、遠い昔のように思えた。
――僕は今、処刑されてから125年後の未来にいる。
あまりにも非現実すぎて受け入れられない。気持ちの整理がつかない。
廃墟と化したあの場所がボナマハト王国だったなんて、信じられない。
でも。確かにこの目で見た。王国は滅亡していた。
僕を殺した相手さえ、もうこの世を去っている。
彼らを糾弾することもできない。
なんの罪もないリリアナをも利用した者たちに、罪を償わせることもできない。
きっとこの世界に、僕を知る元国民などひとりもいないのだろう。
王国の歴史も残らず。文化も消え去り。
僕にはもう、帰る場所がない。
リリアナ。もう僕には君しかいない――!
リリアナの作ってくれた夕食を食べたときに感謝の言葉を口にしただけで、それ以外は言葉を発せなかった。
いつも心が癒されていた手料理も、まったく味がしなかった。
夜になった。
長時間歩き続けて疲れているはずなのに、眠れそうになかった。
森のざわめきが、やけに耳に刺さる。
リリアナは同じ空間にいるのがつらかったのか、『したい作業があるので別の部屋にいきますね』と小声で言い残して出ていった。足音から察するに、きっと台所にいるのだろう。
これまでと変わらずリリアナのベッドを占領し、力なく腰を下ろした。
床に視線を落とす。
そこに描かれていた魔法陣。その中央に呼び寄せられた日が、遠い昔のように思えた。
――僕は今、処刑されてから125年後の未来にいる。
あまりにも非現実すぎて受け入れられない。気持ちの整理がつかない。
廃墟と化したあの場所がボナマハト王国だったなんて、信じられない。
でも。確かにこの目で見た。王国は滅亡していた。
僕を殺した相手さえ、もうこの世を去っている。
彼らを糾弾することもできない。
なんの罪もないリリアナをも利用した者たちに、罪を償わせることもできない。
きっとこの世界に、僕を知る元国民などひとりもいないのだろう。
王国の歴史も残らず。文化も消え去り。
僕にはもう、帰る場所がない。
リリアナ。もう僕には君しかいない――!