愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
本物の夫婦に

 連休が明け、戻ってきた平凡な日常を過ごすことおよそ一週間。

 あれから自宅やその周辺に鬼瓦さんが現れることはないけれど、自信喪失気味な私の精神状態は回復していなかった。

 というのも、遼河さんのお父様から、氷室自動車グループの取引先が主催する再来月のパーティーに、夫婦同伴で出席してほしいと頼まれたからだ。

 今までは社長夫人として公の場で振る舞うことがなかったけれど、今後はきっと増えていく。

 私でうまくやれるのか。遼河さんの株を下げしまわないか……。

 不安を数えればきりがない上、そのパーティーには鬼瓦さんも来るらしい。

 あのアクの強い紳士にまた嫌みを言われたらと思うと、パーティーまではまだひと月もあるのに、今から胃が痛い。

 不運は重なるもので、遼河さんは金曜日である今日の午後から明日の夕方まで、出張で不在。

 行き先は氷室エナジーのバッテリー工場がある大阪。開発中の新型バッテリー、その進捗状況の視察をするのだそう。

 今頃、新町さんと仲良く新幹線に乗っている頃だろう。

 だから、家に帰っても誰もいないので心細い。料理もひとりでは作り甲斐がないから、適当に買って済ませるつもりだ。

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