空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
プロローグ


 地上一万メートル。コックピットの窓の外には、吸い込まれそうなほど深い蒼が広がっている。

 眼下には、果ての見えない雲の海。それを見下ろしながらも、心は少しも軽くならない。

 こうして夢を叶えれば――あの日、指に結んだ約束を守れると信じていた。

 だがどれだけ空を飛んでも、どれだけ地上を探し続けても、守るべき少女の姿は、どこにもない。

「……どこにいるんだ、仄香」

 呟きは、重低音の中に呑み込まれて消えた。

 この翼は、彼女をあの場所から連れ出すために手に入れたものだ。

 胸の奥には、十年経っても消えない想いと、彼女を奪った世界への静かな怒りが燻り続けている。

 不意に、計器パネルの傍らに置かれたフライトケースに結ばれた、小さな栞が揺れた。

 ――シロツメクサを編んだ、約束の証。

 色褪せた花の輪をひととき見つめ、再び正面の蒼へと視線を戻した。

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