空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
愛の居場所
窓の外に広がるやわらかな陽光が、白磁のように滑らかなリビングの床を淡く照らしている。
室内は、温もりのある木目とやわらかなアイボリーを基調にまとめられていた。大きな窓には光を透かす薄手のカーテンと落ち着いた色合いのドレープが重ねられているが、まだ折り目の残る生地が、ここが新しい住まいであることをひそかに物語っていた。
家族と決別したあの日から三ヶ月ほど経った頃、拓翔の提案でこの新居へと移り住むことになった。
かつて暮らしていたマンションも十分に贅沢な空間だったが、新しく選ばれたこの場所は、都心にありながら喧騒を遠ざけた静かな空気に満ちている。
足元には厚手のカーペットが敷かれ、落ち着いた色調でまとめられた内装や、やわらかな質感の家具は、仄香の好みを丁寧にすくい上げたものだ。けれど本棚の一角にはまだ空きがあり、壁の一部には飾りを決めかねている余白が残っている。
その中で仄香はソファに深く身を沈め、静かに紅茶を嗜んでいた。
カップから立ちのぼるのは、仄香の好きなダージリンの繊細で澄んだ香りだ。
かつての自分には、こうして香りを味わう余裕などなかった。いつ声を荒げられるか、いつ理不尽を押しつけられるかと身構え続けていた日々が、今では遠い出来事のように感じられる。
(あれから……もう半年か)