虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
6・シンボルツリーが倒れて
 ――リドディエに白百合が嫌いなことを打ち明けてから数日後。
 エクリーユの炎によって塵となった花々の代わりに、黒百合が植えられた。

(もう、カーテンを締め切りにする必要はないのね……)

 少女は勢いよく光を遮る布を開け放ち、窓を開けて身を乗り出した。
 時折吹き込む風がさらりと頬に当たるのが、心地よく感じる。

(やっと精神的な安定を、得られた気がするわ……)

 この国に来てテラマと再会してから、彼女はいつだってエクリーユのそばにいてくれた。

 しかし、侍女という立場でいる限り、国王の機嫌を損ねたら再び離れ離れになってしまう。
 一時的な安寧を得られても、本当の意味で安心などできなかったのだ。

 だが――彼と街中を散策して周り、言葉を交わし合った効果か。
 第2王女はここで暮らすのが、当たり前になりつつある。

(リドディエ様のそばは、天国のような環境だわ……)

 毎日真新しい洋服に身を包み、1日3食の食事が与えられ、毎日入浴ができる。
 誰にも加害されることなく続く、穏やかな暮らし――。
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