虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
7・小物を返り討ちにして
「なんてこと……」

 リドディエに抱き上げられたまま現場にやってきたエクリーユは、惨状を前にして絶句する。
 天高くそびえ立っていたシンボルツリーが、広場と居住区を寸断するように倒れ伏しているのだ。

 婚約者を抱きかかえたまま歩みを止めたリドディエは、周りの騎士たちに声をかけた。

「怪我人は」

「倒木まで時間がありましたので、今のところ被害の報告は受けておりません!」
「地面が抉れたくらいか……」

「それが……。1つ、問題がございまして……」

「なんだ」

「こちらをご覧ください」

 陛下に報告をした騎士は、腰元の鞘から剣を引き抜く。
 その後、それを勢いよく倒れ伏した幹に振りかぶる。
 しかし――カツン、と甲高い音とともに刃が真っ二つに折れ、くるくると宙を飛び回る。

(あれがもし、人に当たったら……!)

 危機を悟ったエクリーユは、右手を恐ろしい速さで回転する鈍色の凶器に向かって伸ばす。
 その後、強く念じた。

(灰になりなさい)

 少女の命により、細い指先から紅蓮の炎が渦を巻く。それらは落下してくる破片を包み込んだあと、燃えて灰となる。
< 164 / 243 >

この作品をシェア

pagetop