黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
促すように軽く背中を押され、並んで歩き出す。
連れてこられたのはごく普通の雑居ビルだったが、店内は照明が落とし気味で落ち着いた大人の店といった雰囲気がした。
「なに、飲みます?」
「あの。
ここ、お高いんじゃないんですか」
私へ向けてメニューを広げた彼に、つい気になって聞いていた。
「え?」
意外そうに一声発し、眼鏡の向こうで彼が何度か大きく瞬きをする。
「そんなこと、気にするとは思いませんでした」
次の瞬間、軽く握った手を口もとに当てて彼はくすくすと笑い出した。
「だって……。
昨日は経費?とやらだったので奢ってもらいましたが、毎回というわけにはいかないので」
「ふふっ。
やはり夏初さんは素敵な女性ですね」
なぜか少しバカにされているような気がして、気分がよくない。
「ああ!
別にバカにしているとかじゃないですよ!」
そんな気配を感じ取ったのか、陽川さんは慌てて否定してきた。
「んー」
長い人差し指を一本、顎に当て、斜め上を見てしばらく考えたあと、彼が身を乗り出して私の耳もとに口を寄せてくる。
連れてこられたのはごく普通の雑居ビルだったが、店内は照明が落とし気味で落ち着いた大人の店といった雰囲気がした。
「なに、飲みます?」
「あの。
ここ、お高いんじゃないんですか」
私へ向けてメニューを広げた彼に、つい気になって聞いていた。
「え?」
意外そうに一声発し、眼鏡の向こうで彼が何度か大きく瞬きをする。
「そんなこと、気にするとは思いませんでした」
次の瞬間、軽く握った手を口もとに当てて彼はくすくすと笑い出した。
「だって……。
昨日は経費?とやらだったので奢ってもらいましたが、毎回というわけにはいかないので」
「ふふっ。
やはり夏初さんは素敵な女性ですね」
なぜか少しバカにされているような気がして、気分がよくない。
「ああ!
別にバカにしているとかじゃないですよ!」
そんな気配を感じ取ったのか、陽川さんは慌てて否定してきた。
「んー」
長い人差し指を一本、顎に当て、斜め上を見てしばらく考えたあと、彼が身を乗り出して私の耳もとに口を寄せてくる。