本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

第五話 訪問者

◇◇◇

 引っ越しも済んで、本格的に藍堂先生のハウスキーパーとしての仕事を始めて一週間。
 今日も近所のスーパーに行って買い出しをしてきたところだ。

「ん……?」

 マンションに帰ると、玄関ドアの前に見知らぬ女性が立っていた。
 栗色の長い髪をゆるやかに巻き、淡いピンク色のタイトなワンピースを着た、華やかな雰囲気の美人。
 女性は私に気付くと、眉間に皺を寄せて睨み付けた。はっきりとした顔立ちの美女なので迫力がある。

(……もしかして、藍堂先生の彼女さん……?)

 プライバシーに関わるので尋ねたことはないけれど、あれだけかっこよくて才能もある男性はモテるだろう。

「ちょっと! ここは藍堂先生の家よね?」
「……どちら様でしょうか?」

 この言い方、彼女ではないな。
 失礼な物言いに内心驚きつつも、まだ身元がわからないので、問いに答えずに冷静に聞き返す。
 すると女性はフンッと鼻を鳴らした。

「私は苅安(かりやす)出版の者よ。あんたは?」
「私はハウスキーパーですが……」
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