本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

第七話 取材という名の

◇◇◇

 ある日。
 いつものようにリビングの掃除をする私に、藍堂先生が「栞さん」と声をかけてきた。少し緊張した面持ちだ。

「はい」

 私は不思議に思いつつも返事をする。

「ちょっと頼みがあるんだが」
「なんでしょう?」
「次回作の取材で、女性向けのセレクトショップとレストランに行く必要が生じて、その、一緒に付き合ってくれないか」

(……私で良いの?)

 作品に必要な取材なら、担当編集である美咲さんに頼んだらいいんじゃないのかな……?
 あ、文芸苅安じゃない出版社での仕事なのかも。それなら美咲さんじゃなくて私に頼んだのが理解できる。
 藍堂先生に女友達がいるか知らないけれど、なまじこんなにイケメンだと頼む相手によってはデートだと勘違いされそうだもんね。
その点、私は心配ないし藍堂先生のファンだし、頼みやすいんだろう。

 藍堂鷹司の作品のための取材についていけるなんて、ファンとして光栄なことだ。何としても協力したい。

「良いですよ」

 すると、藍堂先生はホッとした表情になった。

「ありがとう。時間はそうだな、急なんだが今日の午後16時くらいから出かけられるか」
「何の予定もないので、大丈夫です!」

 取材とはいえ、わくわくどきどきしてしまう。
 私はリビングの掃除を終えてから、自分の個室に行って出かける仕度をすることにした。
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