本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

第九話 デート

 ボストンバッグを持ってリビングに行くと、鷹司さんがソファーに座ってスマホを操作していた。

「ホテルは苅安出版から離れた場所で取った。チェックインまで時間があるから、デートしよう」
「デート……!」
「どこか行きたい場所はある?」
「本屋さんに行きたくて」
「何かの発売日か?」
「今日、鷹司さんの新刊の発売日ですよ」
「あ!」
「忘れてました?」
「ああ、すっかり忘れてた。でも献本を沢山もらうから、わざわざ買わなくても」
「自分で買いたいんです!」

 強く主張する私を見て、鷹司さんが笑いながら降参とばかりに両手を上げる。

「わかったわかった、まず本屋に行こう」
「ありがとうございます!」

 車のトランクに荷物を詰め込んでから助手席に乗り込む。

「そういえば今夜の美咲さんとディナーの約束は……」
「無しになった。君について相談する予定だったが、必要がなくなったしな」
「わ、私について……?」
「君が俺のことを好きな作家としてしか見ていないのか、恋愛対象として見てくれているのかどうか、とか」

 意外な裏話……!
 鷹司さんは鷹司さんで、そんな風に悩んでいたなんて。
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