余所者-よそもの-
14話:シド。
「今紫藤さんがやってるらしいよ!」
「喧嘩?誰?」
「もうちょっと前詰めろよ」
「紫藤さんどこ?」
「何人対何人?」
群がる人、人、人。
男女問わずひしめき合っては、一つの方向に向かって煽るように声を上げている。
私は腰を屈めてなるべく身体を小さくすると、人と人の僅かな隙間を縫うように前へ進んだ。
前へ前へと進む度に耳に入る状況はより濃くなり、何が起きているのかの理解だって進めていく。
「あ~やっぱ無理でしょ、紫藤には勝てない」
「人数シトウの方が少ねぇじゃん!」
「相手弱すぎだろ。もっと気合入れろ!」
「誰か紫藤に一発いれろよー」
「見ろよあいつ!ションベン漏らしてる」
やがて前に人が居なくなれば、見えた全容は想像よりも遥かに恐ろしかった。
狂気と、血。
二十を超えるであろう男たち。
一方的に殴られている人。
一方的に殴っている人。
紫藤怜はその中心に居た。