余所者-よそもの-

29話:商売

サンコンと別れ、私とユキは一本の路地をひた進む。

隣を歩くユキの歩調は心なしかいつもより緩やかで。
その横顔はずっと何かを深く考えているようだった。


「八賀さんって……難しい人ですか?」

「んーまぁ。難しいっていうか、頑固ジジイだ」

「露天街のえらい人?なんですよね?」

「元締めだね」

……『頑固ジジイ』か。
規律を重んじる露天街のトップということは、八賀だってルールに厳しいってことなのかもしれない。


「八賀さんにお願いすれば、この騒ぎは収まりますか?」

「うーん。これが一筋縄ではいかないんだよね」

「そう……ですよね……」


とぼとぼ、と自分の足先を眺めた。

八賀とは一度会ったことがある。
たしかにクセの強い老人ではあった。

妙な圧もあったし。

――『できるだけ早ぉ出た方がええ。ぜーんぶ、喰われまうでな』


「……どういう意味だったんだろう」

「なに?」


うっかり零した、独り言。

「ああ、いや」と気にしないでとやり過ごそうとしたけど、ユキが考えた顔のままじっとこちらを見るので、まとまりのない話を始めた。


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