余所者-よそもの-

30話:忠告



「お邪魔します……」

うわ、と口から零しそうになるのをギリギリで止めた。
ユキのマンションにつけば、そこは相変わらずのごみ屋敷。

ユキはスタスタとリビングまで行くと、ソファの上にパタン、と倒れた。
はあ、と深くため息までついて、よほどお疲れの様子。


「先、風呂どうぞ」

私は謝罪とお礼と一言ずつ伝えて、お言葉に甘えて先にシャワーを借りることにした。


できるだけ早く上がろう。
疲れたユキの様子を思い返しながら、急いでシャワーを済ませた。

その辺に転がっていた大きめのシャツと、ハーフパンツを身に着けてリビングに戻れば、ユキはさっきの形のまま、……眠ってる?

「………」

回り込んで顔を見てみると、やっぱり眠ってる。

羽みたいに長く、色素の薄いまつ毛がキレイ。
毛穴なんて見当たらないし、形のいい唇がスウスウ言ってる。

……可愛い。


だけどどうしよう。
起こす?
こんなに気持ちよく眠ってるのに?

でもきっとシャワーでスッキリしてからベッドで眠ったほうがいい。
でも……

「………」

うん、やっぱり起こす勇気はない。


私は寝室から布団をもってきて、そっとユキの身体の上に掛けた。


ユキがソファで寝てしまった。
そうなると、自分の寝る場所がない。

仕方がないので、無遠慮にベッドを借りることにした。

布団はユキが使っているので無し。
それで勘弁してほしい。

ブランケットや代わりになりそうなものは見当たらなかったので、大判のバスタオルをかけて眠りについた。


< 234 / 276 >

この作品をシェア

pagetop