余所者-よそもの-
31話:鍵
AnBarに戻れば。
サンコンの居るバーカウンターの前に静かに座っていた、バン。
「おーブス。サボりは終わりか?」
「………」
ホントこの人なんなの。
私は無視を決め込んで、締め作業を淡々と進めていた。
「そこの棚、違げぇぞブス―」
「………」
「ブスのクセに仕事一つまともに出来ねぇとか終わってんな」
あ、どうしよ。
本当にヤだ、この人。
二度とAnBarには来ないと思っていたのに。
何しに来たんだろう。
「バンくん。言っておきますが、再雇用については絶望的な状況ですよ」
「わかってるよ。だから直接話しにきたんだろ」
……再雇用?
バンはもう一度ここで働きたいってこと?
「ユキはもう少しで来ます。ですが、多分無理です」
「決めつけんな」
「勘違いをしていないのであれば良いです。何か飲みますか?」
コーラを頼んだバン。
サンコンに「私がやります」と声をかけ、用意する。
バンに差し出せば、「マッズ。炭酸抜けてんじゃねぇか」とイチャモンをつけられた。
だんだんと腹が立ってきた私を察してか、サンコンが「カナコさんも何かどうぞ」と勧めてくれたので、お言葉に甘えてウーロン茶を入れた。
冷たいお茶で少し頭を冷やそうとした、その矢先。
「お疲れ様です、ユキさん」
サンコンの声と同時に、ユキが颯爽と入ってきた。