愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

卒業にあたって

4年間の学びの努力と成果の集大成である卒業制作展が卒業生により開かれた。

自分の作品の前に立ち、満足のいく出来だと口元が緩む。

隣で麗華がニヤニヤと笑っている。

「蓮 ね…」

「ハスね」

「はいはい」

「麗華は?」

「樹 ね」

「き、だからね」

お互の考えに苦笑した。

「麗華は卒業後、すぐに結婚でしょ」

「うん、6月よ。菜穂の席は蓮の隣だからね」

「友人席じゃないの?親族席なんておかしいよ」

「…菜穂、桐谷の兄弟はね、重い男なのよ」

「重い男?」

「そうよ。私達、結婚してもずっと一緒よ」

「結婚しても、一緒に出かけたり、ランチしたりしようね」

その答えに麗華は苦笑いして、私の両方に手を乗せる。

「もちろんよ。私達、ご近所さんだもの。いつでも会えるわ」

その意味がわかったのは、少し後になってからだ。

大学前に高級車が並ぶ。

婚約者や彼氏、彼女の卒業に駆けつけた人達が、花束を持って待っているようだ。

その先頭に、桐谷の兄弟がいるのだ。

「麗華、おめでとう」と花束を渡してから、彼女を抱き上げた樹さんは、速やかに麗華を車に乗せて消えていった。

あっという間の出来事で、手を振ることも忘れていた。
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