今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
番外編 最初の出逢い
最初に春日小春さんを見たのは、
彼女が暁に来る前のことだった。
当時、僕は暁キッチンで営業企画部にいた。
シェア一位から転落した直後の暁に、
経営再建の話題が出た頃。
社外のプロジェクトで、
他社の若手企画たちと混成チームを組まされていた。
その中に、
ひとりだけ妙にうるさい人間がいた。
「ここ、単身者向けって設定ですけど、収納スペースが狭い気がすると思うんですが」
会議室のホワイトボードに、
遠慮なく赤ペンを入れていく、
他社の若手企画女子。
「〝全部片づけなきゃ気がすまない〟って空気が強いと、結局このキッチン、誰の味方なんだろうってなりませんか?」
あのときの彼女は、まだ暁とは別の、
そこそこの規模のインテリア系スタートアップ企業の名刺を出していた。
名刺の隅に小さく印刷されたロゴを見て、
正直、少しだけ拍子抜けしたのを覚えている。
――どうして、
こんな人材があの規模の会社にいるのか。
彼女は図面を見ながら話し、
同時に『そこに住む人』の台所の匂いまで想像しているような顔をしていた。