君の隣は、呼吸ができる

第12話 ずっと続くと思ってた

――去年の春。
ふと、あの日のことを思い出した。

隣の家の幼馴染だった真樹が、私と同じ勤務地に就職すると聞いた。

別々の高校に通うことになってから、あまり会うこともなく。
気付けば、隣の家なのに真樹が遠くなった気がしていた。

だから。

「勤務地が近いらしいよ」

母からそう聞いた時、胸が跳ねた。

――あの朝。
浮かれた気持ちでいつもより早く家を出ると、ちょうど隣の門が開く音がした。

久しぶりに見た真樹は、記憶の中よりもずっと背が高かった。

私に気付いて目を丸くした彼の顔が、子どもの頃のままで。
可笑しくて、私は思わず吹き出してしまった。

「真樹!」

私は大きく手を振った。

春の香りを運ぶ風が吹き、髪が頬を撫でる。

私はそれを耳にかけながら、弾む声で言った。

「私たち、やっぱりいつも一緒だね!」

門に手をかけたまま、真樹がしばらく私を見つめる。
その瞳がわずかに揺れて、軽く手を上げた。

そして、困ったように笑った。

その笑顔に吸い寄せられるように、真樹の隣へ駆け寄った。

一度は離れた道が、大人になってまた重なる。
また話せる。
そのことが、たまらなく嬉しかった。

――あの時の私は、
それがずっと続くものだと信じて疑わなかった。
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