札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~

五章 予想外

(ロベールside)



「……まさか肉に負けるとはな」


ロベールのひとり言が静かな部屋に響いた。
それも当然のことだろう。最初の出会いは最悪。
オリヴィアを金で無理やり妻にして、札束で頬を叩いた。
利害関係の一致していたら、そのほうが心が痛まないと思った。
一年経ったら解放すればいい。
ディルムーン辺境伯の事業を助けたのも、後々うるさく言われないために恩を売るという打算的な考えからだ。

彼女ことを最初は何も思っていなかった。
ただ今まで出会ってきた女性とは何かが違う。それだけは確かだった。

ロベールは気持ちよさそうに寝息を立てるオリヴィアの唇にこびりついたよだれの跡を拭った。
食に執着しているのは、極貧生活を送っていたからだろうか。


「ん…………むっ!」

「……!?」


するとオリヴィアがロベールの指に噛み付いた。
ガリガリと歯で噛まれて味わっているが、それすらも愛おしいと思う自分がいた。
ロベールはどこか壊れてしまったのだろうか。

(オリヴィアと一緒にいたい。彼女のように心惹かれる人は初めてなんだ)

馬鹿みたいに素直でまっすぐ。
ディルムーン辺境伯譲りの図太さを発揮したかと思いきや、変なところで遠慮をして控えめだった。
肉塊を要求したところもそうだ。
ロベールは次の日の食事からオリヴィアの肉の量を増やすように指示を出した。
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