札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
二章 契約結婚
呆然としたまま馬を走らせ続けたオリヴィアは、ディルムーン辺境伯領に到着したことも、はっきり認識していなかった。
ジョセフィーヌが急ブレーキをかけたことで、目を覚ますように視界がクリアになった。
大金が入った袋と書類は落とさないようにずっと抱えていた。
いつもは使わない筋肉が攣ってしまいそうだ。
ジョセフィーヌは我が家に着いて、疲れたと言わんばかりに鳴き声を上げてオリヴィアに降りるように訴えかけてくる。
オリヴィアが降りてその場で立ち尽くしていると、いつのまにかジョセフィーヌの後ろ足部分が目の前にあることに気づく。
気性の荒い彼女が、オリヴィアを蹴り上げようとしていることに気づき、慌てて声を上げた。
「ジ、ジョセフィーヌ、ここまでありがとう。あとでいいご飯を持っていくから……!」
その言葉で何かを察したのか、オリヴィアを蹴るのを辞めてスタスタと馬小屋へと歩いて行く。
オリヴィアは恐る恐る自分の手元に視線を送る。
そこには確かにロベールにもらった札束と書類があった。
(夢……じゃないのよね?)