悪魔は夜に笑う
番外編②
あゆなさんのバカ。あんな分かりやすいクズ男にときめきやがって。
仕事中にも関わらず視線は常に北島とかいう男に向けられていた。

さっきはあゆなさんを執拗に声かけてたくせに、今度は別の女にちょっかいかけてやがる。
お前自分の勘定終わってんだろうが。早く帰れ。
そして店の風紀を荒らすなよ。なによりあゆなさんがお前みたいなド屑にホイホイ釣られたのがムカつく。

生憎見て見ぬふりができるほどの落ち着いた心理状況じゃない。
俺はスマホを取り出してこっそり写真を撮ったあと、マスターに断りを入れてバックヤードに向かった。

数分後、戻ってきた北島は自分のスマホを席に置いたまま、別の席に移動していた。
覗き込むと着信が来ている。
よし、読み通り。心の中でガッツポーズをして、いたって冷静な顔でカウンターから出てそのスマホを手に取った。


「お客様、失礼いたします」


北島に背後から話しかけると怪訝な顔をされた。
はいはい、良いとこだったんだろ。邪魔して悪いな。

「先程から着信が鳴っているようですのでお持ちいたしました」

「ああ、別にいいのに」

「いえ、奥様からのお電話ですので応答した方がいいかと」


スマホを渡そうとするがヤツは画面を見ない。
俺はこれ見よがしに奥様、という単語を強調した。
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