PRIMUS ―推しの家に家事代行として通ったら、毎日が幸せすぎます!―

34.本当の雪くん

一体、さっきのは誰だったんだろうか。
表情も、いつもの雪くんじゃなかった。
声も少し低くて、まるで別人みたいだった――。
雪くんが男の子だということくらい、分かっていたはずなのに。
改めて、それを思い知らされた気分だった。
雪くんはにこにこしながら、買ってきた商品を冷蔵庫へしまってくれた。
「こはるちゃん!」
「……はい」
なんだか、おかしい。
雪くんと一緒にいると、変に意識してしまう。
さっきの、いつもとは違う雪くんの声が頭の中で何度も繰り返される。

――僕、男だからね?
「買い物、終わったかなー?」
そう言いながらリビングに入ってきたのは、ひなたくんだった。
なんとなく空気が和らいだ気がして、私は小さく息を吐く。
「……あれ?」
ひなたくんが心配そうに、私の顔を覗き込んだ。
「……もしかして、こはるちゃん体調悪い?」
「確かに、顔真っ赤だねぇ〜」
雪くんがいたずらっぽく口角を上げた。
「……大丈夫です!」
本当に体調なんて、一ミリも悪くない。
ただ、さっきから雪くんのことを意識してしまって、どう接したらいいのか分からない。
普段と少し違う、落ち着いた低い声が耳から離れなかった。
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