王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
27.
 エメリーネの補佐官が三人決まったはずなのに、そのうちの男性二人、ヨハンとコンストはアルマスの執務室で仕事をすることとなった。
 というのもアルマスが「いくら補佐官とはいえ、男性がエメリーネ様の執務室に常駐しているのは好ましくありません。何よりエメリーネ様は、まだ結婚されておりませんから」と飄々と言ったのが理由である。
 ようは、結婚前のエメリーネに変な噂が立つのを懸念しているように見せかけているが、アルマス本人がヨハンとコンストがエメリーネの側にいるのを許さないだけなのだ。
「宰相閣下って、エメリーネ様のことをかなり意識されていますよね」
 からりとした声で言ってのけるのは、もちろんエリナである。むしろ彼女くらいしかこのようなことは口にできないだろう。
「しかもエメリーネ様が『わたくし、こういったことには不慣れですから。アルマス、頼りにしているわね』なんて手を組んで上目遣いで言っちゃうから、調子に乗ってるんですよ」
 相変わらずエリナはアルマスに対して辛口であるが、それにもきちっと理由がある。
 ヨハンとコンストをエメリーネの補佐官としておきながら、自分の執務室で仕事をさせると言ったアルマスが「エメリーネ様。彼らに用がある場合は、そちらの()()補佐官殿を私の執務室の寄越してください」と、エリナを伝令役に指名したからだ。
 本来であれば、それはもっと下級文官の仕事である。
< 176 / 226 >

この作品をシェア

pagetop