あの日、青い海に君を置いてきた~「大丈夫」の先で君を失った。だから私は、今日も止める~
2話 安全のアンナ
東西中学校、保健室。
ベテラン養護教諭のアンナは、パソコンを見つめてぶつぶつ言っている。
「やっぱり、危険だ。
雷雲が近づいている。
下校時間に重なってしまうなあ、これじゃ。
何があっても、生徒の命はわたしが守る!」
ナオは、保健室の隅に置いていたバッグを拾い上げた。
「さ、みんなが帰る前に帰ろっと」
二年生の白石ナオは、教室には行かない。
保健室登校を続けている。
下校時に、大勢の生徒と顔を合わせるのは気をつかう。
だからいつも、下校時刻の十五分前には保健室を出ることにしていた。
バッグを背負い、ドアに手をかけた。
そのときだった。
「ナオさん! 今は帰っちゃだめ」
アンナが、窓の外を見ながら言った。
「えー。なんでですか?」
「雷がくるの」
「雷? 鳴ってないし」
「鳴ってからじゃ遅いの!」
アンナはパソコンの画面を確認し、窓の外を見て、また画面へ目を戻した。
ナオものぞき込む。
天気予報。
雨雲レーダー。
雷の予報。
キキクル。
いくつもの画面が開いている。
「アンナ先生、おおげさだなあ。大丈夫だって。まだ雨も降ってないし」
「でも、もう少し待って」
「えー」