経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2

奇跡が日常になる

 仕事と私、は天秤にかけるものではないと舞は思っている。恐らく綾音も同じだろう。司もそれは分かっている筈なのに、今回の事で自信を無くしているようだ。それだけ事を重く受け止めていることも、綾音を大切に思っていることも良く分かる。その態度はまぁ、認めてやっても良いし妥当でもある。

 大事なのはその後だ。仕事と私が同じ時間を共有するなら、どちらかを優先することはこの先もきっと出てくる。その時に大切なことは綾音を優先することではない。そこまで分かっていても司は迷っているのだ。だから女性だからこそ、綾音の親友だからこそ、言えることを舞は司にぶつけまくる。

「世の中『仕事が忙しい』って言ってきても信じられない相手もいるし、何も言われなくても信じられる相手もいるってだけだよ。両方とも少数かもしれないけどさ」

 てか、何を急に弱気になってるんだよ。もっと様子を伺うべきところが今までにも嫌というほどあっただろうが。と、呆れたように呟いた舞は確信を口にする。

「言っておくけど、それは綾だからできる訳じゃないよ。相手が上野だから信用してるんだよ。そこは間違えないように」

 その言葉はかなり嬉しい。悔しいけれど、司はこっそり受け取っておくことにした。その司に、ついでにこれも持っていけと舞はあれもこれもと積み上げる。

「あと、心配してるみたいだから教えとくけど、綾、ほったらかされた期間、別に落ち込んでた訳じゃ無いよ。そりゃ心配はしてたけど、上野が頑張ってるなら自分もって勉強とかしてたみたいだし、それなりに充実した毎日過ごしてた筈だよ。案外あの子、一人でも全然平気なのよ。か弱く見えるから意外かもしれないけどさ」
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