さようなら、お別れしましょう
34 今さらの夫の迎え

 再び現れると思っていなかった。
 私のことをすっかり忘れ、新しい妻と仲良く暮らしているはずだった夫。
 その夫が、なぜか急に訪れ、不機嫌そうな顔をしている。

「夫にやましいことがないのであれば、堂々としていられるはずだ。そうだろう? レフィカ?」
 
 などと、言われても困る。

 ――この理解しがたい状況はなんでしょうか?

「私にやましい気持ちはありません。イーザック様、あなたは清廉潔白なのでしょうか?」
「なにを言う。俺にやましさなど……」

 イーザック様はずっと周囲から冷たい視線を受けていた。
 自分の味方がいないとわかり、ようやく自分の所業を振り返ったのか、途中で言葉を切った。
 侍女たちがひそひそと話す声が聞こえてくる。

「妻を一年間無視し続けて、新しい女性を妻に迎えたのは陛下よね?」
「王宮から追い出したのだって、陛下の判断でしょ」
「まさか、今さら昔の女のほうがよかったなんて思って、追ってきたとか?」
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