総長の愛が、重すぎる

第八章

冬休みに入ったある日。

外は朝から冷たい雨で、ひまりは蓮と約束していた勉強会のために、少し早めに家を出た。

本当は夕方には帰る予定だった。

でも、天気予報よりずっとひどくなった雨と風のせいで、帰るころには電車が一部止まり始めていた。

「えっ……」

スマホを見つめたまま、ひまりは困ったように顔を上げる。

蓮の部屋のソファに座ったまま、どうしようと小さくつぶやいた。

すると、向かいにいた蓮が静かにスマホを置く。

「無理して帰るな」

「でも……」

「外、かなりひどい」

窓の向こうでは、雨が強くガラスを叩いている。

確かに、この中を一人で帰るのは不安だった。

「親には?」

「連絡したら、危ないから泊まらせてもらいなさいって……」

そこまで言ってから、ひまりははっとして口をつぐむ。

泊まる。

改めてその言葉を意識した瞬間、顔が一気に熱くなった。

蓮は数秒黙ってから、少しだけ目を伏せる。

「……そう」

その声が、いつもより低い。

「れん?」

「いや」

短く返しながらも、どこか落ち着かない空気があった。

ひまりの心臓までつられて速くなる。

部屋には暖房がきいているのに、妙に息苦しいくらい緊張した。
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