雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

2-2



 そして一ヶ月後、エノレアは王都にいた。
 乗合馬車からは、地元では滅多に見ることがない綺麗な馬車が道を往来しているのが見えた。
 
 通り沿いの店には見たことのない商品がたくさん並んでいて、ついつい目を奪われる。

 わくわくした気持ちでようやく到着した王宮の前で、エノレアは馬車を降りる。
 振り返って王城を見た瞬間、息を呑んだ。

「大きい……綺麗……」

 高い城壁が左右に広がり、中央には立派な門がある。その左右を沢山の兵士が守っていた。人も多く、この王城だけでも村が百個ぐらいすっぽり入ってしまいそうだ。
 そして、ちょうど通りすぎた馬車にはフリフリのドレスを着た若い女性が乗っているのが見えた。
 あんなドレスを着ている人は、村ではまず見かけない。

「これが王都……」

 見るもの全てが物珍しくて、わくわくした。

「それにしても、人が多いわ。今日はお祭りかしら?」

 エノレアは辺りを見回す。
 そのとき、「待てっ!」と大きな声がした。
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