雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
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この国──リーヴの第三王子であるレニオスは、冷徹で頭の回転が速く、非常に仕事のできる上司だ。ただ、仕事ができるが故に周囲に要求する仕事のレベルも非常に高い。
少しでも〝使えない部下〟と見なすと、レニオスは躊躇せずにクビにする。おかげで、何人採用してもほとんど残っておらず、万年人手不足なのだ。
「合格者に、青嵐宮は裁量権が大きくやり甲斐があると言っておけ」
「人手不足で業務の所掌範囲が異様に広いだけじゃないですか!」
「物は言いようだ。頭を使え」
レニオスはにやっと意味ありげに笑うと、こめかみのあたりを指でトントンと押した。
エドガーは肩を竦める。
「それで……どんな合格者がいた?」
レニオスはエドガーから受け取った書類を捲る。そして、ざっと眺めて眉を顰めた。
「成績上位者はほとんど別の場所に決まっているじゃないか」
「そう言ったじゃないですか。うちは不人気職場なんです、不人気職場!」
「使えない部下なら最初からいないほうがましだ。今年は採用なしにするか」
「冗談ですよね!?」
エドガーは悲鳴を上げる。
「昨年ひとり採用して、三人くびにしているんです。ふたり減っているんですよ! このままでは過労死してしまいます!」
「それは困ったな」
「今、棒読みでしたよ!」
エドガーはレニオスに詰め寄る。レニオスは「耳元で大きな声を出すな」と言って片耳を自分の手で塞いだ。
ぱらりとまたページをめくる。次の合格者情報を見たレニオスは、捲る手を止めた。