雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
2-4
翌日。エノレアはオリバーと一緒に青嵐宮に向かった。
「昨日、他の合格者にも何人か声をかけてみたんだけど、青嵐宮に配属された人はいなかったんだ。僕たちだけなのかな?」
「昨年の配属はひとりだったみたいだから、そうかもしれないわね」
「そのひとりも辞めちゃったみたいだよ。大丈夫かなあ」
オリバーは不安そうな顔をする。
「大丈夫よ、だぶん」
「エノレアは前向きだね」
オリバーは屈託なく笑う。
そうこうするうちに、指定された部屋の前に到着した。
エノレアは深呼吸してから、トントントンとドアをノックする。
「はい」
「本日より青嵐宮に配属されましたエノレア・グレイとオリバー・ハミルトンです」
「入ってください」
入室の許可が出たので、エノレアはドアを開ける。
部屋の中には若い男がふたりいた。ひとりは部屋の中央にある大きな執務机に向かって座っており、短い黒髪に金眼で、シャープな目元と整った顔立ちのせいで冷ややかな印象を受けた。もうひとりは薄茶色の髪の毛を後ろでひとつにまとめた穏やかそうな男性で、執務机の傍らに立っている。