雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

3-4

 ◇ ◇ ◇

 定例会議から一週間が経った。
 執務室にいたレニオスはエドガーが持ってきた資料を眺める。

「エノレアの言うことを聞いたのは正解だったな。建設費用が一割以上削減できた」
「はい。彼女がいなかったら、誰も気づかなかったでしょう」

 エドガーは頷く。
 原材料の仕入れ量がおかしいというエノレアの指摘を受けて、レニオスは見積書の内容の精査を指示した。その結果、不審な費用計上が多数含まれていることがわかったのだ。

 工事会社は特命受注であることをいいことに、一見するとわからないように複数個所で費用の水増しを行っていた。レニオスがその工事会社への発注を永久的に禁止したのは言うまでもない。

「大雨も当たっていましたし、彼女には驚かされっぱなしです」
「天気の読み方は木こりの父親に教えられたと言っていたな。……その後、その父親に関して続けていた調査はどうだ?」

 レニオスはエドガーに尋ねる。
 こんなに色々なことを教えられる男がただの木こりのわけがないと疑問を覚えたレニオスは、以前密かにエノレアの父親について調べたが、結果は〝ただの木こり〟だった。しかし、どうにも納得いかず、再調査を命じていたのだ。

「現在住んでいる村の前に住んでいたという町まで調べましたが、なにも不審な点はありません。また、エノレアに特別な教師が付いていた形跡もやはりありません」
「そうか……」

 前回と同じく、〝ただの木こり〟という調査結果だ。
 
(これだけ調べても不審な点がないとなると、本当にただ博識なだけの普通の木こりなのか?)

 しかし、どこか納得できない。
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