雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

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 レニオスが言うと、エドガーは「え?」と言葉を止める。

「殿下が私を褒めるなんて……」

 天変地異でも起きたかのような目で見られ、レニオスはムッとする。しかし、思い返せば自分がエドガーを面と向かって褒めたことはない気がした。
 自身の右腕であり、最も信頼する重臣であるにも関わらずだ。

「……お前のことは、いつも頼りにしている。これからも俺を支えてほしい」

 エドガーが大きく目を見開く。そして、満面に笑みを浮かべた。

「もちろんです。殿下のために、このエドガー・レインズ、誠心誠意努めさせていただきます」

 エドガーは胸に右手を当てて、鷹揚に頭を下げる。どこか演技がかった大げさな仕草だったが、悪い気はしなかった。顔を上げたエドガーは、随分と機嫌がよさそうだ。

(そんなに喜ぶことか?)

 正直、褒めるだけでここまで喜ぶなんて思っていなかった。
 レニオスはエドガーを窺い見る。

(エノレアといい、エドガーといい、部下が喜ぶ姿を見るのも悪くないな)

 喜んでいるのは向こうなのに、なぜが自分まで気分がいい。

「それで、黒幕は洗い出せそうか?」
「それが、かなり難航しております」
「だろうな」

 予想通りの答えに、レニオスはふうっと息を吐く。
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