桐生桜嘉さんの作品一覧

死神は死にたがり少女に恋をする

総文字数/17,996

恋愛(純愛)25ページ

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よくある恋愛物語が、とても眩しく感じた。 そして思ってしまうのだ、 こうしてお互いに想い合って、 幸せだと感じていられるのは、 どうせ最初だけだろう、と。 そしてその度に自分が いかに醜く滑稽なのかを思い知る。 わたしは恋をしてから、 息をするのが下手になった。 心も淀み、 汚れ、 どす黒くなった。 もしも愛が、 ただただ相手を想い、 尽くすことなのだとしたら、 わたしは一生愛とは無縁の人間だろう。 恋を知って、 わたしは同じ気持ちを相手に求めた。 愛を知って、 わたしはそれを独占したがり、 もっともっとと求め、上限を知らない。 ――そうして失った。 失って愛は憎悪に変わった。 わたしは恋愛をして、臆病になった。 泣き虫になった。 醜くなった。 自分が大嫌いになった。 そうして、死にたがるようになった。 どうせ、死ねないくせに。 だからわたしは、 偶然見えた死神に、感情を売った。 そうして、安らかな死を願った――……
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