「ねぇ、サラ。私、もうサラだけが友達でいい」 《ありがとう。私も色羽だけが大好き。色羽は何も悪くないよ。私はずっと色羽の味方だから。自分の気持ちを一番、大事にしてね》 スマホの画面に映る、私の〝親友〟は優しく微笑む。 私のためだけに作られた唯一無二の完璧な友達。 私が欲しい言葉だけをいつもかけてくれる。 顔色をうかがう必要も、本音を飲み込む必要も、裏切られることもない。 外の世界のトモダチなんて、もういらない。

“正反対” 私と隣の席の彼は、そんな言葉がピッタリ。 ────なはずなのに？ 『俺と付き合ってくれない？結婚前提に』 なぜか告白されてしまいました！？ ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜ 地味メガネ少女 黒田 結音（ｸﾛﾀﾞ ﾕﾉﾝ） × 不良グループ圧倒的人気 市木 吹（ｲﾁｷ ﾌｷ） ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜ 『意外に見つかるもんだよ。共通点って』 いや、私と彼に……同じところなんて───。 ないはずなのに。 『黒田のこと、もっと知りたいから』 『かわいいよ。腹立つくらい』 どうして甘く迫ってくるの────？ 『黒田にも、俺と同じ気持ちになって欲しい』 『離れたくねぇってこと』

コンビニ店員と常連客。 絶対に、それ以上の接点はないと思っていた。 教室の端にいる冴えない私 と 一目置かれる不良イケメン。 お互いに、別世界の人間だったから。 なのに……。 ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜゜ 無自覚美少女 コンビニ店員 北川夕月（ｷﾀｶﾞﾜ ﾕﾂﾞｷ） × クールな不良イケメン 常連客 矢牧 玲七（ﾔﾏｷ ﾚﾅ） +.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜ 「これ以上、店員さんに絡んだら、警察呼びますけど」 フードを脱いだ彼の、吸い込まれそうな瞳と、バチッと視線が交わってしまったその日から。 「こちらこそ、いつもありがとう」 「これ、後で食べな」 きみは完全に、私のヒーローになってしまった。

きみのその笑顔は、いつだって キラキラと輝いて、あまりにも眩しいから 思わず目をつぶって、その手を離してしまったんだ 今度は、しっかり掴んで握るから どうか、手を伸ばして

「それ、やめて」 いつも遠くを見つめてるはずの彼の瞳に。 「全部、心菜のせいだよ」 初めて私が映った気がした。 「我慢してた分、止められないから」

向かいの部屋に住む彼は 大人で 遊んでて 少し怖くて 私とは住む世界が違う人だって思っていた。 でも、あの時入れてくれた一杯の レモネードが 忘れられなくて 気になって 「子供は対象外だから」 そう突き放したくせに 「梓葉」 そんな風に優しく呼ぶから ──────────────────ﾟ☆+.ﾟ☆+ﾟ 岡部 梓葉（ｵｶﾍﾞ ｱｽﾞﾊ） どこにでもいる普通の女子高生 × 矢吹 授久（ ﾔﾌﾞｷ ｻｽﾞｸ） 梓葉の家の向かいに住む エリート会社員 ﾟ☆+.ﾟ☆+ﾟ────────────────── 「矢吹さんのこともっと知りたいです」 不意に見せる、笑顔とか ハッとして離す、手とか 「俺は、悪い大人だから」 「梓葉の嫌がること、しちゃうかも」 それでも 水にじわっと溶けたレモンシロップの味を 私はずっと、覚えているから 「俺、全然大人じゃないよ」 ──────────── ※以前、別名義で公開していた作品です。