私、相川トウコの乙女ゲームの最推しは、“バッド率の悪魔”と呼ばれるルカ様。他のイケメンを次々と攻略してきた私の前に、最後に立ちはだかったのは――何百時間かけても救えなかった彼だった。そんな時、現実では母が勝手にお見合いを設定。仕方なく行った結果は、まさかの大爆死。むしゃくしゃした気持ちのまま夜道を歩いていた私はトラックに轢かれてしまう。そして次に目を覚ますと――身一つで、大好きな乙女ゲームの世界に転生していた！最初に手を差し伸べてくれたのは、かつて攻略したギブン様。物語の始まりはゲーム通り……けれど、ルカ様と再会した瞬間に気づいた。彼の塩対応も冷たい視線も、画面越しで見ていたものとはどこか違う。ゲーム知識と執念を武器に、私は決意する。「今度こそバッドエンドを避け、彼を手のひらで躍らせる」――と。だが、イベントもルートも少しずつ“現実”にすり替わっていく。攻略本ではわからない心の痛み。彼が守るものの大きさを実感していく。最推しを攻略する目的は気が付けばーー。 転生×恋愛×成長。これは異世界へ飛び込んだオタク女子が、推し活をしながら“本当の愛”を見つけるまでの物語。 推し活で心が救われた経験のある人へ。 ゲームの中でも現実でも、「好き」が誰かを動かす力になる。 そんな願いを込めました。