ふと彼と出会って前の人生を思い出しました。 私は前世で男装勇者　彼は宿敵、魔王だったことに。 ちょっと待ってよ、普通は異世界転生とか転移とかそういうもんでしょ。 なんで異世界から現代なの。それ、どこの層に需要あんの？ 「だったら、俺をその気にさせてみせろよ」 生まれ変わっても彼は容姿も性格も魔王のままです。 腹黒さもカリスマ性も健在で、しかも大学教員とか偉そうな立場です。 自分の運命を呪うしかありません。魔王と関わるのはごめんです。 いつも余裕たっぷりで、人を見下してからかってばかり。 嫌いで、憎むべき相手で、けっして彼とは……。 「会いたくなかった、思い出したくなかった」 「……そうか」 「とりあえずさー。世界も平和なんだし、ふたりともちょっとは素直になってみたら？」 前世のしがらみで素直になれないツンデレ不器用ヒロインと 前世も現代も溺愛の伝わらない不憫なヒーローを全力でニヨニヨするお話。 初出：ノベマ！　2020.9.30～2021.4.16　 野いちご・ベリーズカフェ転載　2025.10.1～

ファン登録をしてくださった方々に送る番外編集となっています。 更新はファンメールの送信に合わせてしていきたいと思いますが 不定期なのでどうぞご了承ください。 タイトルを変えるかもしれませんが、主に番外編を取り扱っています。 ファン登録してくださっている皆様が少しでも楽しんでいただけますように。 章タイトルは番外編作品のタイトルで 節タイトルが作品タイトルになっています。 (少しややこしくてすみません) ※2025年8月14日　更新※ 『失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます～愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました～』 × 『別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません』コラボ作品 フォロワー1000人感謝企画【Happy Ever After】　ＵＰ

高校生の頃の淡い恋心は最悪な形で打ち砕かれた。 なんで、こんなひどいことができるの？ 全部忘れて、新しい恋に踏み出そうと何度も頑張った。 でも、できない。 だったら、もう恋はいらない。 だから家のために好きでもない相手と結婚する覚悟もできた。 それなのに―― ｢なら、俺と結婚するか？｣　 なんで？　私のこと嫌いなんでしょ？ それとも職業柄、放っておけない？ 「冗談じゃない。そんな価値のわからない連中に未可子は渡さない」 2025.5.10～2025.6.10

両親がおらず祖母に育てられ、そんな祖母も亡くなり、私は本当にひとりぼっちになってしまった。 残されたのは、祖母と暮らしていたこの家だけだ。 けれど叔父夫婦に勝手に売りに出されようとして―― 「後悔するぞ。君以外、みんな売った方がいいと思っている」 「あなたみたいな人に託せられない。今、売った方がよっぽど後悔します」 最低最悪。この人とは一生、分かり合えない。 彼みたいな人に、私の気持ちなんて絶対に理解できない。 けれど……。 「……約束、守ってくれるんですよね？」 「ああ。きっちり契約書も用意する」 それでもこの方法しかない。 私にはもう、あの家しか残っていないのだから。 「わかりました。……結婚します」 2025.4.7～2025.4.17

余計なことはしない。与えられた仕事を完璧にこなす。 「私は家事をするのも誰かのために尽くすのも、仕事だと割り切らないとできませんから」 「仕事としてでかまわない。俺と結婚してほしいんだ」 雇用関係のうえに成立した契約結婚。 仕事として雇い主の望みを叶える。 そこに私自身の意思も気持ちも必要ない。 ……はずだったのに。 「あの、この分は……仕事をしていない分はお給料から引いておいてくださいね」 「仕事をしているよ。妻を甘やかしたいという俺の望みを叶えてくれている」 どこまでが妻の仕事なの？ 彼から与えられる仕事は、温かくて、優しくて、どこまでも甘い―― 「私のことはクビにしてください」 2023.11.20～2023.12.1