プロフィール

緑 雪子
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緑の雨

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秋も深まってきた10月中旬。 あさみは元々植物が好きで、今まで沢山の薔薇の花を咲かせてきた。 あさみにとって、薔薇は特別な存在だ。 彼女の最も愛してやまない作家、中井英夫の作品類の多くに薔薇が登場してくるし、中井英夫本人も家や別荘に薔薇園を持っていた。 しかし、薔薇は室内では育てられない。 今、大切な人が私の元を離れていき、心がカサカサに乾いているあさみは、室内で育てられ、いつでも緑が目にはいる多肉植物に凝っている。 それに、緑を育てるのにはヒーリング効果があると聞き、多肉を育てるのにせいを出している。 多肉植物を鉢に植える時、どういうふうにレイアウトしていいのか考えている時、多肉のふっくら柔らかな感触を手に感じる時、心は無心になり、目の前は優しい緑でいっぱいになる。 彼がいなくなった人生。 毎日涙がこぼれ落ちる。 これからは、緑と一緒に生きていこう。 緑が恋人。それでいい。 いや、恋人というよりあさみの心に潤いを注いでくれる緑。 今は、それでいい。 それがいい。

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