【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです

2.

(まあ、そうだよね。嫌だよね。怖いよね)


 私はお父様を通じて、ジェイル以外の候補者たちにも呪いの真実を伝えた。結果、自主的に登城する婚約候補者はゼロになってしまった。

 凹んでいても仕方がない。私たちはすぐに次の手に移った。


(誠実で責任感の強い人ほど、ことの重大さに悩んでしまうのよね、きっと)


 幼い頃からの婚約者であるメレディスがいい例だ。彼も真面目だからこそ、私を死なせてはいけないと思い詰めてしまったんだもの。お父様が集めた候補者たちは、重鎮の息子や格式高い名家の子息ばかりだったし、もう少し違う系統の男性も探したほうがいいに違いない。


 ということで、お父様は夜会を開くことにした。


「この際、相手は貴族に限らなくていい。裕福な名家の人間も多数招いた。とにかく、なんとしてもおまえを愛してくれる人間を見つけるんだ」

「お父様……ありがとうございます」


 夜会に招待したのは華やかで美しく、明るい男性たちだ。経歴も様々で、騎士や文官、遠方の領主や、他国の王族まで、ありとあらゆる人々を集めた。
 これだけ色んな人がいたら、私のことを愛すると約束してくれる人が現れるんじゃないかって、ついつい期待をしてしまう。


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