【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです

3.

 それから数日後のこと、アメリーは侯爵令嬢フルールが開くお茶会へと招待されていた。


「いらっしゃい、アメリー様」

「ごきげんよう、フルール様。本日はお招きいただき、ありがとうございます」


 屋敷にはすでに数人の令嬢がおり、和気あいあいと会話を交わしている。どうやらエズメのお茶会とほとんど同じメンバーのようだ。


「あの、エズメ様はまだいらっしゃってないのですか?」

「ああ、あの人は呼んでいませんから」


 と、フルールがニコリと言い放つ。アメリーは「え?」と目を丸くした。


「これまでずっと我慢してきましたが、あの人の他者批判にはうんざりですの。不愉快きわまりありませんから――それで、これからはわたくしがお茶会を主催しようと思いまして」


 フルールはそう言いながら微笑み、アメリーの手をぎゅっと握る。


「ですから、アメリー様ももうあの人の批判に苦しむ必要はないのです。これからはこちらで、楽しくお茶を飲みましょう?」

「え……と」


 なぜだろう? アメリーの胸がちくりと痛む。ありがとうございますとこたえたものの、曖昧に微笑むことしかできなかった。


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