【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
1.
(あぁ、また負けた……)
中庭に張り出された成績一覧表を見つめつつ、私は小さくため息をつく。何度見ても私の名前は上から二番目。あんなに勉強したのに――と思ったそのとき、背後から肩をポンと叩かれた。
「悪いねラナ嬢、今回も僕が一番みたいだ」
楽しげな声。振り返りつつ、私はムッと唇を尖らせる。
「……わざわざ言われなくたって見ればわかるわ、アンベール様。一番、おめでとう」
「うん、ありがとう。今回も接戦だったね」
アンベール様はそう言って、掲示板を満足気に見つめた。
(相変わらず綺麗な顔立ちだなぁ……ものすごく目立っているし)
チラチラと下級生たちからの羨望の眼差しを感じながら、私もアンベール様を覗き見る。
絹のように滑らかな金の髪、神秘的な紫色の瞳、美しく整った目鼻立ちにスラリとした長身。眉目秀麗、文武両道、おまけにグラシアン侯爵家の跡取り息子とくれば令嬢たちがほうっておくはずがない。
中庭に張り出された成績一覧表を見つめつつ、私は小さくため息をつく。何度見ても私の名前は上から二番目。あんなに勉強したのに――と思ったそのとき、背後から肩をポンと叩かれた。
「悪いねラナ嬢、今回も僕が一番みたいだ」
楽しげな声。振り返りつつ、私はムッと唇を尖らせる。
「……わざわざ言われなくたって見ればわかるわ、アンベール様。一番、おめでとう」
「うん、ありがとう。今回も接戦だったね」
アンベール様はそう言って、掲示板を満足気に見つめた。
(相変わらず綺麗な顔立ちだなぁ……ものすごく目立っているし)
チラチラと下級生たちからの羨望の眼差しを感じながら、私もアンベール様を覗き見る。
絹のように滑らかな金の髪、神秘的な紫色の瞳、美しく整った目鼻立ちにスラリとした長身。眉目秀麗、文武両道、おまけにグラシアン侯爵家の跡取り息子とくれば令嬢たちがほうっておくはずがない。