国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで

一章 箱詰めされた聖女


「──ローズマリー・リィーズを国外追放とするっ」


ローズマリーは赤ん坊を守るように抱きしめていた。
空気を読んでくれたのか、今は泣き止んでくれている。


「聖女として何もしていないのに偉そうに国を出たいだと!? ミシュリーヌの優しさがここまでローズマリーをつけ上がらせてしまうとは。魔法樹の管理はミシュリーヌ一人で十分だ!」


その瞬間、ローズマリーの中で何かがプチリと切れた。
今までローズマリーはずっとずっと我慢していた。
満足な食事ができたらそれでいいと言い聞かせていた。
だけどもう限界だ。
ローズマリーは枯れてしまったクロムのことを思い、瞼を閉じてからゆっくりと開いた。


「本当によろしいのですね? わたしは今まで一度もミシュリーヌ様が魔法樹を癒しているところを見て……」

「──無礼者ッ! これだから元平民は非常識で嫌になりますわ!」


ミシュリーヌがローズマリーの言葉に被せるようにして声を荒げた。
ローズマリーはため息を吐くしかなかった。
これ以上、何を言ったとしてもこの状況では無駄なのだろう。
クリストフとミシュリーヌはローズマリーの初めて見る反抗的な態度にかなり苛立っているようだ。
頭に血が昇っているのか、吐く息は荒く目が血走っている。
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