【完結】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで

四章 滅びた国と栄えた国

(クリストフside)

魔法が使えなくなり一週間が経とうとしていた。
魔法樹は枯れて、完全に灰になってしまった。
今や魔法樹があった場所には、ぽっかりと穴が空いていて大聖堂は封鎖されて誰にも入れないようになった。
魔法は完全に使えなくなってしまい、王家はその責任を追求されることとなる。


「もう誤魔化すのは限界だ。貴族たちに説明しなければ……」

「本当に……魔法は使えなくなるのですか!?」

「…………」

「父上、どうにかしてくださいっ」

「ローズマリーと魔法樹を失った以上はどうにもできない! 今は取り戻すことだけを考えろっ」

「は、はい!」


父によってすべてが公になり、ルレシティ公爵とミシュリーヌは聖女ローズマリーを貶めて追放した罪で地下牢に拘束されることになった。
父は教皇たちと結託して二人にすべての責任を押し付けて、彼らを切り捨てる選択をしたのだ。

牢に入る前、ミシュリーヌは『あなたにすべてを捧げたのにっ』と泣いていたが毒婦が何を言ってもクリストフには響かない。
むしろここまでして王妃の座に縋りついていた彼女のことが気持ち悪く軽蔑していた。
ミシュリーヌはローズマリーへの恨み言を言っていたが、信じられない気分だった。

『なんて女だ……! ローズマリーを虐げ続けて嘘までついて彼女を国外に追放するなんて』

クリストフの中でいつの間にかすべて罪がミシュリーヌのものになっていた。
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