国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで

二章 特別な存在

(ミシュリーヌside)



ローズマリーが目障りだった。
ライムグリーンの髪はこの国では珍しく、たとえ艶がなくても手入れをしていなくとも目を引いた。
透き通るようなライトブラウンの瞳は目が合うと不思議な感覚にさせる。
クリッとした大きな目は小動物のようだ。
可愛らしい容姿は男性の目を引きつけている。

だが、大聖堂に閉じこめられていることやパーティーやお茶会に出ることもない。
教会は他国の人間や貴族たちにローズマリーを取られたくないからと大聖堂から出さなかったのだ。
彼女を洗脳するかのように狭い場所に閉じ込めたのだ。

(いい気味……世間知らずで何もできない。惨めに引きこもっていなさい)

それなのに特別な力を持った彼女が目障りでしかない。
ローズマリーは毒魔法という魔法を与えられたミシュリーヌとは真逆の存在。

魔法樹が大聖堂に根付いたことで、ここ何十年はずっと教皇が発言権を強めていた。
それはあってはならないことだと父は危惧していた。
その予想は当たることになる。

教皇は貴族たちにしか魔法の恩恵を与えないことを条件に、多額の寄付を要求してきたのだ。
今思えば魔法樹が小さいこともあり、国全体が魔法を使えるようになることなど不可能だった。
だからこその提案なのだが、貴族たちは魔法樹から与えられる特別な恩恵に酔いしれていた。
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