影の妻、愛に咲く～明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに～

第八部 凌辱の夜

家に帰ると、梨子の折檻が始まった。

「この恥さらしが！」

梨子の手が私の体を打つ。

「毎晩抱かれたですって！このあばずれ！」

今度は木の棒を持って来て、私の体を打つ。

梨子の狂気は止まらなかった。

「何が愛してるよ！何が毎晩抱かれたよ！人のモノで満足して！」

梨子の怒声が響くたびに、棒が私の背中を打ちつけた。

激しい痛み。焼けるような痛み。

でも、もっと痛いのは、心。

「人のモノ」なんかじゃない。私は、自分の意思で、誠一郎さんを――

「今日はここまでにしてやるわ！」

梨子が乱暴に扉を閉めて出て行くと、静寂が部屋を満たした。

赤く腫れた肌に残るのは、怒りと嫉妬の痕。

「子供は諦めなさい」――その言葉が、胸を何度も刺す。

私は震える手で身を起こし、擦り傷に触れながら別邸へと足を引きずるように戻った。

静まり返った屋敷の奥、母が暮らす部屋の灯りが薄く漏れている。