帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜

第2章 初恋 ― 秘めた想い

それからしばらくしてのことだった。

また皇居の使者が神社を訪れた。

「また、暁宮様がご病気に?」

私は心配そうに尋ねる。

「いえ、この度は、美琴様にお願いがあって参りました。」

使者は私をじっと見つめ、少し言いよどんだ。

「……美琴様には、仲のよい殿方はいらっしゃいますか。」

思わぬ問いに、私はきょとんとする。

横で聞いていた神主が、何かを察したように口を開いた。

「節太郎とは仲良くしているな。」

節太郎とは神主の子で、この神社の跡継ぎだ。私より二つ年上。

「はい。でも……たまに世間話をするくらいで……」と答えると、使者は小さくうなずいた。

その目は、安堵と、何かを確かめたような色を帯びていた――。
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