帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜

第4章 政略結婚 ― 別れ

それからも、暁宮様は私をお召しになった。

「ああ、美琴。」

抱き寄せ頬すりをし、唇を重ねてくれた。

場所は東宮御所に移り、部屋も豪華になった。

「この部屋で、美琴を抱けるとは思わなかった。」

磨き上げられた御簾越しに、月明かりが私たちを照らす。

「私もです。」

吐息を重ねながら、私たちはゆっくりと衣を脱ぎ合った。

「ああ、美琴の胸が欲しくてたまらない。」

低く熱を帯びた声と共に、舌が柔らかく肌を這う。

その熱に体が跳ねる。

「ああん、もう……だめぇ……」

胸の奥から震えが広がり、指先まで痺れるようだった。

「もっと……私を感じて。」

耳元の囁きが、夜の静けさに溶けていく。

そして私は、あの夜と同じように、彼のすべてを受け入れた。
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