明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
第1章 契約の花嫁 ― 罪から始まる恋 ―
昔栄華を極めた家でも、その当主が亡くなれば没落するというのは、よくある話だった。
名家である私たちの家、白河家も父が生きていた時には、栄華を誇っていた。
私は女学校を出た後、看護の勉強をさせて貰っていたし、弟の誠一は師範学校にも通わせて貰っていた。
何もかも自由で、やりたいことをさせて貰っていた。
だがそれは、父が亡くなるまでの事だった。
「悪いね、珠緒。あなたばかり働かせてしまって。」
父がいなくなり、学費も出せなくなった今、看護学校も辞めてしまった。
ただ弟の誠一だけは、師範学校に行かせてやりたくて、私はこうして奉公に出ていた。
「姉君。今日もお疲れ様でした。」
弟の誠一は、最近やたら私を姉君と呼ぶ。
自分の学費を稼いでくれている事への感謝なのだろうか。
「今、夕食を作りますからね。」
母は病で倒れ、動けるのは私だけだった。
生きる為には、頑張るしかなかった。
名家である私たちの家、白河家も父が生きていた時には、栄華を誇っていた。
私は女学校を出た後、看護の勉強をさせて貰っていたし、弟の誠一は師範学校にも通わせて貰っていた。
何もかも自由で、やりたいことをさせて貰っていた。
だがそれは、父が亡くなるまでの事だった。
「悪いね、珠緒。あなたばかり働かせてしまって。」
父がいなくなり、学費も出せなくなった今、看護学校も辞めてしまった。
ただ弟の誠一だけは、師範学校に行かせてやりたくて、私はこうして奉公に出ていた。
「姉君。今日もお疲れ様でした。」
弟の誠一は、最近やたら私を姉君と呼ぶ。
自分の学費を稼いでくれている事への感謝なのだろうか。
「今、夕食を作りますからね。」
母は病で倒れ、動けるのは私だけだった。
生きる為には、頑張るしかなかった。
< 1 / 60 >