隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
17 交渉成立
「お姉様がポリウスに戻るためには、条件をのめですって?」
クレアの話を聞いて、ルシアは憎らしそうに顔を歪める。
「ええ、それができないのであれば、セイラ様は一時的にでもポリウスにはおかえしできません。どんなにセイラ様が戻りたいと言っても、我々が阻止します。……そうですね、我々、というよりもレインダムが国を上げて阻止するでしょう」
(そんな、私が帰れないように、レインダムが国を上げて?どうしてそこまで……そんなにもこの国にとって聖女は大切な存在になっているの?)
青ざめるセイラの肩を、ダリオスはしっかりと抱き寄せルシアを睨みつける。まるで、セイラは絶対に渡さないと言わんばかりだ。ルシアは、忌々しいものを見る目でダリオスを見る。
「随分な話ね。お姉様はそんなにこの国で重宝されてるの?呆れた、今まで聖女がいなかったくせに、聖女を手に入れた途端に聖女は自分たちのものだと言わんばかりじゃない。お姉様も可哀想ね、故郷が危機に瀕しているのに、帰りたくても自由に帰れないなんて。どこにいても聖女としてこき使われる人生。私には到底できないし、したくもないわ」
ルシアが嘲笑うかのようにそう言うと、我慢できなくなったダリオスが声を荒げる。
「いい加減にしないか!いいか、我々は確かにセイラを聖女として大切に思っている。我が国にはもはや無くてはならない存在だ。だが、ただ聖女だから手放したくないというわけでは断して無い!セイラ自身の人柄が我々の心を動かし、彼女を手放したくないと思わせるんだ。たとえ聖女であっても、もしも君のような聖女だとしたら我が国は喜んでお帰りいただくだろう、そして二度とこの国に足を踏み入れさせない」
「はあ!?何よそれ!」
ダリオスの言葉に、ルシアが憤る。そんな二人を、クレアが片手で制した。
「ダリオス様、気持ちは痛いくらいわかりますが、少し落ち着いてください。それから、セイラ様の妹君も、落ち着いてよく考えてみてください。ポリウスがセイラ様をこちらに寄越したのは何のためでしたか?我が国の軍を撤退させるためでしょう。いいですか?今、衰退しているポリウスを我が軍がまた攻めたら、ポリウスはひとたまりもありません。セイラ様のことを思って、ダリオス様はポリウスを攻めることは良しとしないかも知れない。ですが、自分は違います。国王だって、ポリウスを攻めようと思えばすぐにでも攻めよと言えるでしょう。言わないのは、話し合いで解決できるならそうしたいと思っているからです」
銀色の髪の毛をサラリと靡かせ、底の見えない深い深い海のような青い瞳をルシアに向け、クレアは薄ら笑いを浮かべて言葉を続ける。
「それを、あなたは今、ぶち壊そうとしている。あなたの発言次第で、我が国はいつでもポリウスを攻めることができるのです。あなたはセイラ様を自分の国に連れ帰ることはおろか、滅ぼしてしまいかねないということを自覚していただきたいですね」
「なっ……!」
クレアの視線と言葉に、ルシアは絶句する。そして、セイラもまた絶句していた。
(レインダムが、ポリウスを攻めるかも知れない?そんな……!でも、今のままだったら、確かにそうなってしまう)
青ざめながらカタカタと小さく震えるセイラを、ダリオスは真剣な顔でより一層強く抱きしめる。
「さて、セイラ様の妹君。セイラ様を一時的にポリウスに戻したいのであれば、あなたはこちらの条件をのむしかありません。どうしますか?」
「くっ、……わかったわ、条件をのみます」
恐ろしいほど美しい微笑みを浮かべながら言うクレアに、ルシアはあっけなく降参した。
「あなたが正しい判断を下せる人間で良かったです。それでは、セイラ様と我々は準備をしてから後日改めてポリウスへ伺いたいと思います。そんなに時間はかけませんので、妹君は先にお戻りください。心配しなくても、ちゃんとセイラ様と一緒にそちらに向かいます」
クレアがそう言うと、ルシアは憎らしいと言わんばかりの顔でクレアを見てからセイラとダリオスに視線を移す。
「絶対よ!絶対にポリウスに来てちょうだい!嘘をついたら許さないんだから!」
クレアの話を聞いて、ルシアは憎らしそうに顔を歪める。
「ええ、それができないのであれば、セイラ様は一時的にでもポリウスにはおかえしできません。どんなにセイラ様が戻りたいと言っても、我々が阻止します。……そうですね、我々、というよりもレインダムが国を上げて阻止するでしょう」
(そんな、私が帰れないように、レインダムが国を上げて?どうしてそこまで……そんなにもこの国にとって聖女は大切な存在になっているの?)
青ざめるセイラの肩を、ダリオスはしっかりと抱き寄せルシアを睨みつける。まるで、セイラは絶対に渡さないと言わんばかりだ。ルシアは、忌々しいものを見る目でダリオスを見る。
「随分な話ね。お姉様はそんなにこの国で重宝されてるの?呆れた、今まで聖女がいなかったくせに、聖女を手に入れた途端に聖女は自分たちのものだと言わんばかりじゃない。お姉様も可哀想ね、故郷が危機に瀕しているのに、帰りたくても自由に帰れないなんて。どこにいても聖女としてこき使われる人生。私には到底できないし、したくもないわ」
ルシアが嘲笑うかのようにそう言うと、我慢できなくなったダリオスが声を荒げる。
「いい加減にしないか!いいか、我々は確かにセイラを聖女として大切に思っている。我が国にはもはや無くてはならない存在だ。だが、ただ聖女だから手放したくないというわけでは断して無い!セイラ自身の人柄が我々の心を動かし、彼女を手放したくないと思わせるんだ。たとえ聖女であっても、もしも君のような聖女だとしたら我が国は喜んでお帰りいただくだろう、そして二度とこの国に足を踏み入れさせない」
「はあ!?何よそれ!」
ダリオスの言葉に、ルシアが憤る。そんな二人を、クレアが片手で制した。
「ダリオス様、気持ちは痛いくらいわかりますが、少し落ち着いてください。それから、セイラ様の妹君も、落ち着いてよく考えてみてください。ポリウスがセイラ様をこちらに寄越したのは何のためでしたか?我が国の軍を撤退させるためでしょう。いいですか?今、衰退しているポリウスを我が軍がまた攻めたら、ポリウスはひとたまりもありません。セイラ様のことを思って、ダリオス様はポリウスを攻めることは良しとしないかも知れない。ですが、自分は違います。国王だって、ポリウスを攻めようと思えばすぐにでも攻めよと言えるでしょう。言わないのは、話し合いで解決できるならそうしたいと思っているからです」
銀色の髪の毛をサラリと靡かせ、底の見えない深い深い海のような青い瞳をルシアに向け、クレアは薄ら笑いを浮かべて言葉を続ける。
「それを、あなたは今、ぶち壊そうとしている。あなたの発言次第で、我が国はいつでもポリウスを攻めることができるのです。あなたはセイラ様を自分の国に連れ帰ることはおろか、滅ぼしてしまいかねないということを自覚していただきたいですね」
「なっ……!」
クレアの視線と言葉に、ルシアは絶句する。そして、セイラもまた絶句していた。
(レインダムが、ポリウスを攻めるかも知れない?そんな……!でも、今のままだったら、確かにそうなってしまう)
青ざめながらカタカタと小さく震えるセイラを、ダリオスは真剣な顔でより一層強く抱きしめる。
「さて、セイラ様の妹君。セイラ様を一時的にポリウスに戻したいのであれば、あなたはこちらの条件をのむしかありません。どうしますか?」
「くっ、……わかったわ、条件をのみます」
恐ろしいほど美しい微笑みを浮かべながら言うクレアに、ルシアはあっけなく降参した。
「あなたが正しい判断を下せる人間で良かったです。それでは、セイラ様と我々は準備をしてから後日改めてポリウスへ伺いたいと思います。そんなに時間はかけませんので、妹君は先にお戻りください。心配しなくても、ちゃんとセイラ様と一緒にそちらに向かいます」
クレアがそう言うと、ルシアは憎らしいと言わんばかりの顔でクレアを見てからセイラとダリオスに視線を移す。
「絶対よ!絶対にポリウスに来てちょうだい!嘘をついたら許さないんだから!」